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株式会社日立社会情報サービス

日立金属株式会社 安来工場様

100年以上の歴史を持つ鋼メーカー、部門横断の生産改革に向けたデータ分析基盤をQlikで構築。
現状分析の期間を3分の1に短縮。

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「QlikViewの最大の強みは画面の作り込みが自由にできる機能の高さにあります。手軽なBIは他にも存在する中でQlikViewが持つ画面開発の容易性と自由度は、他社製品に比べて突出していると感じました。」

日立金属株式会社 安来工場(以下、日立金属 安来工場)は、複数部門を対象とした生産改革を実現するため、各部門に存在する生産管理システムを横断してデータを客観的に分析するための基盤を構築。そのデータ表示(画面系)機能に採用されたのが、連想型高速インメモリ情報分析プラットフォーム「QlikView」でした。

データによる定量的な現状把握と現場での定性的な評価とをすりあわせることで3ヶ月以上かけて行っていた現状調査業務をわずか1ヶ月で実施できるようになり、従来経験と勘でやっていたことがデータで確認して正しいアクションが起こせるようになることで、今後の設備投資や改革・改善の提案にも活かせると期待します。

概要
課題

各部門の生産管理システムを横断したデータ分析基盤を整備して工場全体の生産改革を推進

対策

・データ分析基盤の構成を「ETL」と「データ表示・分析機能」に分離し、データ表示・分析側にQlikViewを採用
・QlikView では、1)部門や製品毎の売上分析、2)受注品ごとのリードタイムの分析、3)全仕掛品の現状や推移の分析、4)溶解量と出荷量の工程バランスの分析を実施

効果

・3ヶ月かかる分量のある現状の定量調査が1ヶ月に短縮
・データの可視化と一覧の抽出の手間を大幅に削減し、業務効率が向上
・異なる工程の担当者が同じ問題意識を持つことで、対応の迅速化を実現し、意思決定のスピードが向上

生産管理システムを俯瞰した定量化や複数部門を対象とした生産改革は未着手

1899年(明治32年)に日本古来のたたら製鉄品の製造販売を始めた雲伯鉄鋼合資会社を発祥とし、1910年に東洋で初めて可鍛鋳鉄による継手の製造を行った戸畑鋳物株式会社を前身とする日立金属は、独創的なモノづくりと積極的な企業合併・吸収を繰り返しながら、独立した事業運営を行う4つの社内カンパニーを構成して、自動車・産業インフラ・エレクトロニクス関連分野を中心に事業を展開。世界屈指の材料メーカーへと成長しました。

社内カンパニーのひとつ、「特殊鋼カンパニー」の拠点である安来工場は、日本初の高級特殊鋼の研究所として冶金研究所を設立するなど、江戸時代に和鉄の積出港で栄えた“ハガネの町”の伝統と精神を受け継ぎ1956年に操業を開始。「YSSヤスキハガネ」として知られる独自ブランドで、金型・工具・刃物材料、自動車部品、エレクトロニクス材料、航空機・エネルギー材料など多岐にわたる製品を生産し、世界各国の企業から高い評価を得ています。

安来工場で生産する製品は、鉄鋼をベースにさまざまな金属や原材料を混ぜて特性を出し、用途にあった鋼を作ることを事業にしているため、製品それぞれに合金の配分比率や製造プロセスが複雑に異なり、工程ごとに非常に緻密な生産管理が非常に重要となっています。しかも、2015年度末の時点では、各部門に存在する数多くの生産管理システムを横断して、生産の重要観点となるデータを俯瞰・定量化し、客観的な議論を促すためのツールや活動は当時まだ整備されていませんでした。複数部門を巻き込むような大きなテーマを持つ生産改革は進めにくい状態でした。

部門連携の生産改革に取り組むには客観的な判断を補完するデータ分析基盤が必要

日立金属株式会社 特殊鋼カンパニー企画部 主任 大山 賢治 氏

そこで安来工場の改革推進部では、「部門横断の生産改革」をテーマにツールを整備するプロジェクトが発足。データ分析基盤の構築が計画されました。日立金属 特殊鋼カンパニー 企画部 主任の大山 賢治氏はその目的を次のように語ります。「従来は部門縦割りのデータだったため、製品の生産工程を最初から最後までトラッキングしたり、過程で生じる課題を解析したりすることができませんでした。例えば、どの工程でどれだけ製造日数がかかっているのか、原材料投入から出荷までの部門横断でどれだけ原価がかかっているのかなどを分析しない限り、工場全体の生産課題は解決しないと考えました」

部門横断とは、溶解や鍛造、帯圧延といった製造系組織内の部門横断のほか、生産管理や生産技術といった間接系組織と製造系組織の工場内部門横断、さらには工場と本社の部門横断も意味します。それら各部門が連携して生産改革に取り組むには、部門から上がってくるデータを集約して全体の流れを可視化し、客観的な判断を行うデータ分析基盤が求められていたと大山氏はいいます。

今回のデータ分析基盤のシステムでは、生産管理や経理、営業などの各種データソースからデータウェアハウスを構築するETL機能とデータ表示・分析機能を分離することで環境変化に対応しやすいシステムにしました。そしてデータ表示に採用されたのが、連想型高速インメモリ情報分析プラットフォーム「QlikView」でした。
選定の理由について大山氏は、「QlikViewの最大の強みは画面の作り込みが自由にできる機能の高さにあります。今回は、見たい情報が1画面内に適切に配置され、スクロールせずとも容易に情報収集できる一覧性を実現することが重要なポイントでしたが、手軽なBIは他にも存在する中でQlikViewが持つ画面開発の容易性と自由度は、他社製品に比べて突出していると感じました」と振り返ります。画面づくりも部門で固定するのではなく、各ユーザーが関わるビジネスや関心事に合わせて情報の配置を動的に動かせる柔軟性も必要だったといいます。

他にも、デスクトップ版を使えば無償でプロトタイプの開発ができる低コスト化や、各種データを含む130MBのQVWファイル(QlikView Document)でも画面レスポンスが速いパフォーマンス性能、QVWファイルごとの柔軟なライセンス(Document CALs)設定なども選定の決め手になりました。
ETL側にはオープンソースの「Pentaho Data Integrator」を活用してデータを集約する専用機能にし、そのデータファイルをファイルとして保持することで、QlikView以外のシステムでも使いやすくしています。あえて役割を階層化し適材適所に活用したことで、QlikViewは可視化と分析の効率化に専念し、部門横断の分析BIを高性能に構築できるようにしました。

新たな気付きはクリックから生まれる部門横断型分析基盤「Yasugi IQ」

2016年4月からプロトタイプの開発を開始。分析画面の開発を順次進めました。画面開発においては、目的・構成を日立金属で考案し、画面作成までのテクニカル支援はQlikViewの導入パートナー企業である日立INSソフトウェアが担当。現在までに、1)部門や製品毎の売上分析、2)受注品ごとのリードタイムの分析、3)全仕掛品の現状や推移の分析、4)溶解量と出荷量の工程バランスの分析という4つの分析画面が開発・運用され、業務視点別にデータを可視化しています。

2017年3月に部門横断型分析基盤が本格的に運用を開始。このシステム基盤は、QlikViewの連想技術をベースに、“新たな気付きはクリックから生まれる”という想いを込めて「Yasugi Insight Qliker」(Yasugi IQ)と名付けられました。

大山氏は、「Yasugi IQ運用後の本格的な効果測定はこれからという段階ですが、今どの製品がどんな問題を抱えているのかを数値で全製品を可視化できるようになりました。そうしたデータによる定量的な現状把握と、現場で聴取した定性的な評価とをすりあわせることで、これまで3ヶ月以上かけて行っていた現状調査業務を、わずか1ヶ月で実施できるようになっています」と強調します。

今までは複数の工程の生産管理システムを複合して見ることはベテランでも容易ではないことでしたが、QlikView導入以後は必要な生産管理システムのデータを統合して1つの画面上で見ることができるようになったので、ベテランでなくてもデータを用いた現状把握が短時間で可能になったといいます。
「経験と勘でやっていたことが、データで確認して正しいアクションが起こせるようになったのは大きな成果です。企画部として、今後の設備投資や改革・改善の提案にも活かせると思っています」(大山氏)

データに新しい見方があるという気付きがデータ分析の文化を工場内に定着させていく

日立金属株式会社 安来工場 改革推進部 部長 会田 亮一 氏

また、日立金属 安来工場 改革推進部 部長の会田 亮一氏は、部門間の情報をキャッチボールしやすくする基礎ができたと評価します。「これからはYasugi IQのデータを直接用いながら会議を行っていく機会は増えていくと思われるので、さまざまなデータと異なる視点が組み合わされることで解決のスピードも早くなっていくでしょう」

日立金属株式会社 安来工場 改革推進部 情報活用推進グループ長 赤堀 友彦 氏

さらに、日立金属 安来工場 改革推進部 情報活用推進グループ長の赤堀 友彦氏は、「最近、受注は増えているのに生産設備の稼働率が上がっていないケースがあり、そういった状況を監視する何らかの仕組みが必要になってきています。今後、Qlikviewで稼働状況監視画面を作成、運用することで部門長など管理者が自職場の稼働状況がひと目で理解できるようになり、改善が促進されると思います。」と話します。

加えて赤堀氏は、これまでは生産管理システムからExcel形式で配信するデータが多く、各部門が必要なデータだけをフィルタリングして見ていたと指摘。今後はQlikViewでデータがグラフィカルに可視化されると同時にデータの抜き出しも自動で行えるようになったので業務効率も向上するはずだと期待します。

「QlikViewの導入を行いながら、データに新しい見方があることを今回のプロジェクトでは気付かされました。その気付きが今後、他の部署のユーザーにも広がっていければデータ分析の文化が工場内に定着していくものと思っています」(赤堀氏)

日立金属株式会社 安来工場 生産管理部 計画グループ 主任部員 佐藤 正樹 氏

一方、ユーザー側の立場でBIをどのように使っていくべきかなどを考えてきた、日立金属 安来工場 生産管理部 計画グループ 主任部員の佐藤 正樹氏は、Yasugi IQの活用推進にはひと工夫が必要だと指摘します。「これまでは能動的に情報を集取することを期待する“プル式”の見せ方ではなかなか見てくれないため、デジタルサイネージのような表示システムなどを用いて“プッシュ式”で各種データを見せることで、異なる工程の担当者同士が別の視点で同じ問題意識を持つようになり、対応の迅速化と内容の改善を図る事ができると考えています」

市場やマーケットの変化に対応するための見える化や分析の手段もYasugi IQで提供

今後のYasugi IQおよびQlikViewの活用計画について、会田氏は次のような見通しを述べています。「今後はセンサーなどで設備の稼働状況を全てデータ化するほか、全てのデータをQlikViewで一元監視・管理できる工場内のIoT化を進め、経営戦略にも活かしていくことも視野に入れています。それにより、製品品質の向上と生産計画の精度向上に加え、プロアクティブな設備保全による計画的な保守・保全、効率的な予兆管理が可能になり、コスト削減やボトルネックの解消、柔軟な製造ラインの変更、さらにはトラブルの未然防止などが期待でき、ダウンタイムなどのリスクを限りなくゼロに近づける工場運営も可能になるでしょう」

将来的には、市場やマーケットの変化に応じて工場の工程をダイナミックに対応させていくための見える化や分析の手段としてもYasugi IQで提供していくといいます。受注前のフォーキャストやマーケットトレンドなどの情報をQlikViewに取り込んで、現状の生産状況と将来需要のデータを重ね合わせることで、生産量の変化や品質改善の効果などを簡単にシミュレーションできるようにするアイデアも検討されています。

そして、今回のプロジェクトを振り返り大山氏は、最初の構想からわずか1年間で運用を開始できたスピード感はQlikViewの開発容易性の高さに起因するところが大きく、それがなければ構築は難しかったと分析しています。「プロジェクトが成功した要因は、QlikViewの製品力に加え、日立INSソフトウェアのサポート力があったからだと考えています。その意味では良い製品と良いパートナーに出会えたことが幸運でした。これをさらに使えるようにしていくことが今後の私の使命だと考えています」

また、会田氏も続けます。「Yasugi IQの活用はスタートし始めたばかり。全体を俯瞰しながら、さまざまなアイデアや考え方を出せる道具として、特殊鋼カンパニーがしっかりと運用を起動に乗せ、今起きている現象に対して未来に向かって何をすべきなのかを皆が同じ視点で議論できるプラットフォームになるように使いながら育てていくつもりです」

歴史と伝統の日立金属 安来工場に、QlikViewが今後もどのようなインサイトを生み出し、新風とともに新たな歴史を刻むのか、プロジェクトメンバーの活躍にこれからも目が離せません。

Yasugi IQの一画面。部門の関心事に合わせたドリルダウン可能な円グラフを設置することで、多くの分析切り口を限られた画面上にコンパクトに表現。

(掲載内容は、2017年9月取材時のものです)

会社情報

日立金属株式会社 安来工場

日立金属

1956年創立の日立金属は、事業セグメントごとに自律して事業運営を行う4つの社内カンパニーを構成し、自動車・産業インフラ・エレクトロニクス業界向けに、特殊鋼製品、磁性材料、素形材製品、電線材料の製造と販売を行う。特殊鋼カンパニーの拠点である安来工場は、「YSSヤスキハガネ」のブランドで金型・工具・刃物材料、自動車部品、エレクトロニクス材料、航空機・エネルギー材料などの独自の製品を創出し、グローバル市場でも高い評価を得ている。

日立金属株式会社 安来工場の会社情報

業種

製造業

利用者

特殊鋼カンパニーの約50名

URL http://www.hitachi-metals.co.jp/(新規ウィンドウを表示)
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日立INSソフトウェア株式会社は2018年4月より、株式会社日立社会情報サービスに社名を変更しました。
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本事例中の「日立INS」は、日立INSソフトウェア株式会社を略称として表記したものです。
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本事例中に記載の内容はインタビュー当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。

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