企業年金セミナー登壇レポート(2023年5月15日(月曜日)15時〜16時30分)
確定給付企業年金は約930万人もの方々が加入しており、厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金など多様な企業年金部門の方々によって、年金資産の管理・運用や受給者への年金給付業務が行われています。
その年金実務者が集まり、相互の交流や研鑽を通して業務運営に必要な知識・情報を交換・共有する「企業年金連絡協議会」では、メンバーの自発的な参加で運営されている「部会・専門委員会」があり、意見交換や情報共有などの活動が活発に行われています。
このたび、「企業年金連絡協議会 IT研究会・事務改善委員会」主催の合同セミナーにおいて、全国情報サービス産業企業年金基金(以下、JJK)様におけるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)事例が先進的であるとして取り上げられ、当プロジェクトをサポートした当社が取り組みについて紹介しました。
また、セミナー後半では「企業年金のDXの取り組みの現状と課題」と題したパネルディスカッションが行われ、当社社員もパネリストの一人として登壇しました。
セミナーの様子
現在、多くの企業年金では年金給付の際に紙媒体での申請が主となっています。そのため、応対する職員の出社が必須となっており、テレワークなどのニューノーマル対応が難しい状況です。また、書類の目視チェックや申請用紙からシステムへの転記作業など、申請から決裁までの手間と時間がかかってしまうことも課題となっていました。さらに、申請の電子化にとどまらず、企業年金基金業務全体を取り巻くビジネスモデル全体のデジタル化による業務改革についても、関心が高まっています。
企業年金のDX化は、企業年金を取り巻く受給権者、企業年金、受託会社などを含んだビジネスモデル全体の業務フロー・プロセスにおいて効率化できるところはないか見直しを行い、変革をめざす必要があることについて説明。また、企業年金にDX化のメリットなど、これまでに三井住友信託銀行様にて実施いただいたセミナーの内容を振り返りました。
受給権者〜企業年金間をデジタルで結び、一気通貫の流れを実現するサービスとして、JJK様に導入した「デジタル申請基盤提供サービス for 企業年金」の概要を説明。また、受給権者がポータル画面を使用して裁定請求を行うデモや、職員が利用する管理ポータル画面より申請内容を確認する際のデモを行い、イメージを掴んでいただきました。
JJK様より、「デジタル申請基盤提供サービス for 企業年金」導入の背景や、導入において実現したかった内容についてお話を伺いました。またサービス導入後に加入者や受給権者の方々に利用いただくための取り組みについてもお話を伺いました。
JJK様の内容を受け、サービスの開発陣頭指揮を取った当社 原より、サービス化におけるポイントとして、「ユーザビリティへの配慮」「利用者を拡大させるための施策」および、今後の機能拡張展望について説明しました。
三井住友信託銀行 様からは、企業年金の実務においてネックになっている裁定手続きの事務フローなど、ペーパーレスでスムーズに流れていくよう「デジタル申請基盤提供サービス for 企業年金」の仕組みと、U型システムをつなぐ部分について、真剣に考えていきたいとのお話を伺いました。
U型で運用を行っている花王グループ企業年金基金 様からは、三井住友信託銀行 様のお話を受け、受託会社のシステムに依存する部分が多い中で明るい未来が見えてきたこと。また、将来は承認フローを含めた形で給付を一気通貫で対応いただくなど、近い将来によい形で実現いただけることを心待ちにしていることを伺いました。
JJK様は、厚生年金基金として1982年2月1日に設立され、2017年7月からは確定給付企業年金制度(企業年金基金)へと移行しました。2023年4月時点で加入している事業所は881社、加入者・年金受給者数は15万人以上と国内最大規模の総合型企業年金基金になります。
加入者ならびに受給権者のサービス向上、実施事業所事務担当者の事務効率化および基金事務局業務の効率化を目的に2022年2月よりDX化に着手し、2023年1月末からは源泉徴収票の(再)発行、年金受給者の住所・受取金融機関口座変更業務に限定してDXに対応。対象者2,321人に案内文書発送し、3月時点で新規IDの登録件数506件、電子申請数34件となっています。
セミナー名称 | DX事例研究「デジタル申請基盤提供サービス for 企業年金」のご案内 |
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開催日 | 2023年5月15日(月曜日)15時〜16時30分 |
場所 | AP浜松町会議室(東京都港区) |
参加人数 | 対面参加25名、オンライン参加65名 計90名 |
主催 | 企業年金連絡協議会 IT研究会・事務改善委員会 |
本セミナーの参加者からは、「企業年金におけるDXの取り組みについてイメージが湧いた」「将来はスタンダードなサービスになると考える」といった感想が挙げられており好評いただきました。
パネルディスカッションの様子
当日登壇した当社社員
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