BIツール「Qlik Sense」とは? 特徴や機能、活用例を詳しく解説「画面サンプルあり」
デジタル技術が急速に進展している昨今、ビジネスの現場では膨大なデータを有効活用することが重要になっています。データ活用のためにはデータの可視化や分析が不可欠であり、適切なツールを導入することが求められます。本記事では、データ分析や可視化を容易にするBIツール「Qlik Sense」の特徴や用途の例などを解説します。
目次構成
- BIツール「Qlik Sense」とは?
- ・Qlik Senseとは?
- ・Qlik Senseのメーカー「Qlik社」の概要
- ・Qlik Senseの導入メリット
- ・Qlik SenseとQlikViewの違い
- Qlik Senseのラインアップ
- ・Qlik Cloud Analyticsの概要
- ・Qlik Enterprise SaaSの概要
- ・Qlik Sense Enterprise on Windowsの概要
- Qlik Senseの特徴
- ・特徴1:柔軟な分析と連想技術
- ・特徴2:グラフの簡単作成・見やすいグラフの作成
- ・特徴3:プレゼン機能で情報を簡単共有
- Qlik Senseの機能
- ・セルフサービスのビジュアライゼーション
- ・インタラクティブなダッシュボード
- ・検索と会話型
- ・アラート機能とアクション
- ・レポート作成
- ・モビリティ
- ・カスタムと組み込み
- Qlik Senseの画面サンプル
- ・折れ線グラフ(チャート)サンプル
- ・ストーリーテリングサンプル
- ・ツリーマップサンプル
- ・ワードクラウドサンプル
- Qlik Senseでできることや活用例「ダッシュボードサンプルを交えて解説」
- ・業績情報分析の可視化
- ・部品逼迫可視化
- ・受注管理の見える化
- ・勤休(勤怠)データの見える化
BIツール「Qlik Sense」とは?
本記事では、業界最強クラスのセルフサービスBIツールとして注目される「Qlik Sense」の概要をご紹介します。
・Qlik Senseとは?
Qlik Sense(クリック・センス)は、直感的なデータビジュアライゼーションおよびデータ分析を可能とするセルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。
あらゆる業界で膨大かつ多様なデータの取得が可能となったビッグデータ時代において、データ活用はビジネスの改善や飛躍に欠かせない要素となっています。Qlik Senseは、Qlik独自の連想分析エンジンで高速にデータの可視化と探索を行い、直感的にさまざまな角度から情報を分析できます。分析軸を自由に選択、絞り込むことにより、迅速に結果へ導くセルフサービスBIツールです。
・Qlik Senseのメーカー「Qlik社」の概要
Qlik Senseは、Qlik社が開発・提供しています。Qlik社は1993年にスウェーデンで設立されたソフトウェア企業であり、現在はアメリカペンシルベニア州に本社を置いています。現在、世界で40,000社を超える顧客を抱えており、「2024年 Gartner アナリティクス/BIプラットフォームのMagic Quadrant」にて、14年連続リーダーの1社に選ばれるなど、世界的に高い評価を得ているグローバル企業です。
「データには、ビジネスを変革し、社会を良くする力がある」という信条を掲げており、主力製品であるQlik Senseを中心とするデータ分析プラットフォーム・ソリューションの提供を通じて、多様なデータから企業が必要なインサイトを得られるよう支援しています。
近年、リアルタイムでのデータ統合とデータ品質管理を提供し、企業がデータを迅速かつ正確に活用できるようQlik Talendや、非構造化データに対するAIナレッジアシスタント(Qlik Answers)を提供しています。
・Qlik Senseの導入メリット
Qlik Senseを導入することで、データ統合や可視化、分析が容易になり、そこから有益な示唆を導き出すことで、ビジネスの現場における迅速かつ適切な意思決定が可能となります。
データ統合に関しては、データベース、データウェアハウス、クラウドサービスなど、さまざまなソースからデータを抽出し、統合することが可能です。
可視化については、データを視覚的に表現するための豊富な機能を提供しており、さまざまな表やグラフを使用したダッシュボードなどを作成して、データから有益なインサイトを得ることができます。
また、商材や年月日といったデータの種類をワンクリックで絞り込み、スピーディに計算することが可能です。処理速度が非常に速いため、複数のグラフで構成されたダッシュボードであっても迅速に表示できる点もメリットです。例えば、会議の場で最新のデータを使用した分析や結果の共有が可能となり、方針の決定や結論の導出を支援できます。
・Qlik SenseとQlikViewの違い
Qlik社では、Qlik Senseのリリース以前から「QlikView」というソリューションを提供していました(2021年6月に、QlikView単体での新規販売は終了)。ともにデータ分析のプラットフォームですが、QlikViewは第一世代、Qlik Senseは第二世代の分析ソリューションという位置づけです。
両者の大きな違いは想定するユーザー層にあります。QlikViewでは主にデータアナリストや、データサイエンティストなど、データを扱うための専門的な知識・スキルを持つ人材が主なユーザー層だった一方、Qlik Senseでは直感的な操作性などユーザーフレンドリーなUI/UXを実装しており、専門的な知見を持たない一般のユーザー層でも活用可能です。
Qlik社によれば、Qlik SenseとQlikViewの機能には以下のような違いがあります。
機能 | Qlik Sense | QlikView |
---|---|---|
自由形式の連想探索 | 〇 | 〇 |
ダッシュボード | 〇 | 〇 |
ガイド型アナリティクス | 〇 | 〇 |
高度なデータ準備 | 〇 | 〇 |
幅広いデータ接続 | 〇 | 〇 |
拡張知能 | 〇 | × |
管理されたセルフサービス分析 | 〇 | × |
データマイニングと分析 | 〇 | × |
ビジュアルデータの準備 | 〇 | × |
オープンAPI上に構築された最新のプラットフォーム | 〇 | × |
AI対応の洞察、推奨チャート | 〇 | × |
自然言語処理※日本語非対応 | 〇 | × |
参照:Qlik社ヘルプページ「QlikViewとQlik Senseとの違い」
BIツールの活用事例やデータの可視化に関するダウンロード資料
「Qlik Sense」を基盤としたBIツールの活用事例(勤怠状況の見える化、社内データの利活用など)やダッシュボードサンプルをまとめたPDF資料がダウンロードできます。ご検討用にお気軽にご活用ください。
- BIツールの導入から活用支援を行う「超xlsサービス」の詳細がわかる資料
- 勤務状態の見える化を実現した弊社の社内事例
- 【運輸業向け】BIによる社内データの利活用方法
- 超xlsサービスのダッシュボード例
Qlik Senseのラインアップ
Qlik Senseには現在、Qlik Cloud Analytics、Qlik Sense Enterprise SaaS、Qlik Sense Enterprise on Windows といったラインアップがあります。
・Qlik Cloud Analyticsの概要
Qlik Cloud Analyticsは、Qlik Sense Enterprise SaaSと同じ機能を持ったクラウドベースのエンタープライズ向けビジネスインテリジェンスプラットフォームです。ライセンス形態がデータ容量ベース(Capacity Model)となり、参照ユーザー数を気にすることなく多数のユーザーでダッシュボードを閲覧できるライセンスです。
・Qlik Sense Enterprise SaaSの概要
Qlik Sense Enterprise SaaSは、クラウドベースのエンタープライズ向けビジネスインテリジェンスプラットフォームです。組織の成長や変化に合わせて、フレキシブルなライセンスモデルやスケーラビリティを提供しています。また、Qlik AutoML(教師付きAI機械学習)やQlik Application Automation(アプリケーション自動化、レポーティング)などの周辺機能を使用できます。ライセンス形態は、参照ユーザー含め、ユーザーライセンスベースとなります。
・Qlik Sense Enterprise on Windowsの概要
Qlik Sense Enterprise on Windowsは、オンプレミス環境上でのエンタープライズ向けビジネスインテリジェンスプラットフォームです。オンプレ環境やVM上のWindows Server上にインストールして利用することが可能です。AWS EC2やMicrosoft Azure VM、Google Cloudなどの仮想サーバサービスにもインストール可能です。
BIツールの活用事例やデータの可視化に関するダウンロード資料
「Qlik Sense」を基盤としたBIツールの活用事例(勤怠状況の見える化、社内データの利活用など)やダッシュボードサンプルをまとめたPDF資料がダウンロードできます。ご検討用にお気軽にご活用ください。
- BIツールの導入から活用支援を行う「超xlsサービス」の詳細がわかる資料
- 勤務状態の見える化を実現した弊社の社内事例
- 【運輸業向け】BIによる社内データの利活用方法
- 超xlsサービスのダッシュボード例
Qlik Senseの特徴
Qlik Senseには主に以下のような特徴があります。
・特徴1:柔軟な分析と連想技術
柔軟な分析と独自開発の「連想技術」を組み合わせて、一度に多くのデータを視覚化し、一見関連性のなさそうなデータからでも、意味ある洞察を素早く得られる点が大きな特徴です。これにより、一般的なBIツールでは得られなかったような示唆を導出し、ビジネスの意思決定に生かすことができます。把握できるデータや情報の量が多いことも強みです。
・特徴2:グラフの簡単作成・見やすいグラフの作成
Qlik Senseは、ユーザーがグラフやチャートを簡単に作成し、データを視覚的に表現できるよう設計されています。基本的にはマウス操作によるドラッグアンドドロップだけでデータの取り込みや分析などを行え、直感的な操作でさまざまな種類のグラフやチャートを作成できます。これにより、専門的なスキルを持つユーザーだけでなく、一般的なユーザーでも簡単に活用できます。グラフのデザインも見やすく、データが示唆する内容を素早く理解することが可能です。
・特徴3:プレゼン機能で情報を簡単共有
Qlik Senseにはプレゼンテーション機能が組み込まれており、データ分析の内容や得られた示唆を簡単に共有できます。データ分析の結果や内容などを実際のプロセスに沿って表示、共有できる機能もあるため、プレゼンの場での理解が深まります。また、会議の場で生じた疑問についても、情報をその場で共有することで解消しやすくなります。
Qlik Senseの機能
Qlik Senseにはさまざまな機能がありますが、代表的なものとしては以下の7つが挙げられます。
・セルフサービスのビジュアライゼーション
Qlik Senseでは、データの規模の大小を問わず、ユーザーが自らデータを自由に探索し、視覚化することが可能です。簡単なドラッグアンドドロップの操作でデータを可視化し、検索・選択・深掘りなどの機能を通じて確かな洞察を得ることができます。
・インタラクティブなダッシュボード
Qlik Senseを使用して、インタラクティブなダッシュボードも作成可能です。さまざまな情報を含む強力なダッシュボードを作成・共有することで、多様なデータの異なる側面をダッシュボード上で調査し、インサイトを得ることができます。
・検索と会話型
Qlik Senseには、検索機能と会話型インターフェースが組み込まれています。自然言語を用いて重要なインサイトを導き出すことができ、ユーザーはデータを検索し、質問を投げかけることで必要なデータを容易に入手できます。
・アラート機能とアクション
Qlik Senseでは、データ主導型のアラートを設定できます。これにより、特定の条件が満たされた場合に通知を受け取ることができます。また、アラートに対するアクションを設定し、業務を自動化することも可能です。
※オンプレミスでのご利用の場合は別途有償オプション契約が必要です。
・レポート作成
Qlik Senseを使用すると、Microsoft OfficeやPDFファイルなどのフォーマットを用いて簡単にカスタムレポートを作成できます。デザインや書式設定の柔軟性も高く、さまざまなデータの視覚化要素を組み合わせて、レポートを構築することが可能です。
※レポートの形状によっては別途契約が必要です。
・モビリティ
Qlik Senseはモバイルデバイスにも対応しており、ユーザーはどこからでもデータにアクセスし、分析を行うことができます。これにより、移動中やリモートワーク中でも滞りなく業務を遂行できます。
・カスタムと組み込み
Qlik Senseは、組織のニーズに合わせて拡張や統合などのカスタマイズが可能です。さらに、Qlik SenseはAPIを提供しており、他のアプリケーションやシステムとの連携を実現し、カスタムアプリや拡張機能の開発を迅速化します。
Qlik Senseの画面サンプル
Qlik Senseでは、折れ線グラフやストーリーテリングなどを通じた、多様なビジュアライゼーションが可能です。
・折れ線グラフ(チャート)サンプル
折れ線グラフ(チャート)は、時間の経過に伴う数量や傾向の変化を表示するために使用されます。少なくとも2つのデータが必要であり、時間経過に伴う傾向の変化を把握したいときに役立ちます。
折れ線グラフ(チャート)サンプル画面
・ツリーマップサンプル
ツリーマップでは、大きな長方形の中に入った小さな長方形を使用して、階層データを表示します。概要を把握したい階層データが複数ある場合、一目で内容を理解できる点が特徴です。階層内部にあるデータの大小を視覚的に把握したい場合に適しています。
ツリーマップサンプル画面
・ワードクラウドサンプル
ワードクラウドは、テキストデータ内の単語やフレーズを視覚的に表現する手法です。頻出する単語や語句を大きく表示し、出現頻度の低いものほど小さく表示されます。これにより、テキスト内で重要度の高いワードを一目で把握できます。
作成するグラフの形状やフォント、レイアウト、配色は自由にカスタマイズできます。
ワードクラウドサンプル画面
・ストーリーテリングサンプル
Qlik Senseには、データから得られたインサイトを共有するためのデータストーリーテリング機能が搭載されています。この機能を使用すると、データから導出される重要な要素を強調して、説得力のあるプレゼンテーション用のスライドを作成できます。ストーリーを新しい方向に展開し、会話を促したり、より良いインサイトを得たりすることも可能です。
ストーリーテリングサンプル設定画面
Qlik Senseでできることや活用例
「ダッシュボードサンプルを交えて解説」
ここからは、Qlik Senseでできることや活用例をダッシュボードのサンプルなども交えながら、いくつかの例をご紹介します。
・業績情報分析の可視化
業績情報とは、「売上」や「粗利」「外注経費」などの営業や利益に関連する情報のことです。Qlik Senseを活用することで、例えば下記のような業績情報を可視化できます。
- 顧客別売上高、粗利率トップ10
- 顧客別粗利額トップ/アンダー10
- 顧客別外注経費・外注比率トップ10
- 製品別売上高、粗利率トップ10
経営層や営業の責任者が見たい数値をグラフ化して可視化することができます。
・部品ひっ迫状況の可視化
部品ひっ迫とは、ある製造物を生産するために必要な部品が、自然災害などの影響を受けて減産され、足りなくなる状況のことを言います。部品が足りなくなると、供給計画に影響し、その結果売り上げや利益にも影響を及ぼします。
Qlik Senseを活用すれば、この部品ひっ迫の状況を可視化することができます。調達システムからサプライや別のひっ迫状況のデータなどを、そして、生産管理システムから製品への影響調査情報を取得し、Qlik Senseで集約・集計することで、ひっ迫状況を可視化できます。
・受注管理の見える化
受注管理の見える化とは、営業部門の売り上げ見込み、確定売り上げなどのデータを可視化することを言います。営業予実算システムなどのデータをQlik Senseで集約し可視化することで実現します。下記はそのデモ画面になります。
Qlik Senseサンプル画面(営業予実算システムのデータ)
・勤休(勤怠)データの見える化
勤怠管理システムに管理されている勤怠データを集計し、従業員の働き方の状況を可視化することができます。これにより、どこに問題があるのか?を把握し、働き方の改善につなげていくことができます。例えば下記のようなデータを可視化することで、配慮が必要な社員に対する改善指示をタイムリーに出すことができます。
- 法令順守の閾値を超えそうな社員の警告
- 働き方に変調が見られる「要配慮社員」
- * Qlik、QlikView、Qlik Sense、Qlik Talend、Qlik Answersならびに各ロゴは、QlikTech International ABの商標または登録商標です。
- * Microsoft、Windows、Windows Server、Excelは、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
Qlik Senseサンプル画面(勤怠データ)
BIツールの活用事例やデータの可視化に関するダウンロード資料
「Qlik Sense」を基盤としたBIツールの活用事例(勤怠状況の見える化、社内データの利活用など)やダッシュボードサンプルをまとめたPDF資料がダウンロードできます。ご検討用にお気軽にご活用ください。
- BIツールの導入から活用支援を行う「超xlsサービス」の詳細がわかる資料
- 勤務状態の見える化を実現した弊社の社内事例
- 【運輸業向け】BIによる社内データの利活用方法
- 超xlsサービスのダッシュボード例